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『アルジェの戦い』 レビュー(感想)

『アルジェの戦い』

ポスター画像出典:『映画.com

 

第27回ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞し、1966年にイタリアで公開されたこの映画は、アルジェリアのフランスからの独立までのアルジェリア戦争を描いている。アルジェリア戦争というのは、1954年から1962年にかけて行われたフランスの支配に対するアルジェリアの独立戦争だ。歴史的にも価値のある映画となっている。イタリア人が描くフランスとアルジェリアだから、偏りは少ないはずだ。

 

ラストエンペラー』は中国とイタリア、フランス、アメリカ、イギリスが製作したが、そこに描かれる日本の描写は、日本が描くそれよりも公正なものである。あの映画では、私が今まで普通にして日本で生きていたら気づけなかった、かつての日本軍の悪事が描かれている。日本ではそれを公共の電波や学校で積極的に教えることはないが、世界規模の視点を持ち、自分の判断に公明正大な説得力をもたらせるためにも、常に真実は包括的な視野から得た純粋なものでなければならない。

 

1830年以降、フランスはアルジェリアを支配下に置いた。アルジェリアだけではない。地図を見てみよう。アルジェリアは『北アフリカ』で、エジプトやモロッコなどと同じで、あまりアフリカと言われてもピンと来ないエリアでもある。我々が認識するアフリカは動物と砂漠と黒人たちがいる王国だ。

 

 

イギリスとフランスは1700年の後半の産業革命、そして1800年の後半にあった第二次産業革命によって

 

植民地をもっと増やして商品を売らなければ!

 

という考えに支配されていた。そういう考えが、当時の資本主義国の頭をよぎっていたのである。そんな中、イギリスとフランスの勢いはけた違いだった。

 

植民地化させた国

イギリス約70か国
フランス約30か国

 

この詳細については下記の記事に書いたのでゆっくりと確認したい。

 

 

そうした経緯の中、特にアフリカ、東南アジアという『弱小国家』とされたエリアの人々は、イギリスとフランスを筆頭とする強国に不平等な関係を強制され、このような現象が起きてしまったのである。だが、第二次世界大戦ももう終わり、世界中で植民地の人々が声を上げるようになる。例えば下記は東南アジアについてまとめた表だ。

 

列強諸国が植民地から手を引いた年(東南アジア諸国が独立した年)

ビルマ(ミャンマー)1948年
ラオス1953年
ベトナム1945年
カンボジア1953年
フィリピン1946年
マレーシア1963年
ブルネイ1984年
シンガポール1965年
インドネシア1949年
東ティモール2002年

 

ベトナム戦争が起きたことで、東南アジアの5か国は結束を強め、1967年、各国は『バンコク宣言』を行い、これが『ASEAN(東南アジア諸国連合)』の始まりとなった。詳細は下記の記事に書いたが、こうしてASEANというEU連合よりも大きな連合体が誕生した。

 

 

こうした動きと全く同じ動きが、ここアルジェリアでも起きていたということだ。そしてその描写はとてもリアルであり、緊迫感漂う当時の状況が臨場感たっぷりに展開される。

 

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